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建物のほとんどがこの「外壁」に囲まれています。以前、開口部(窓・玄関等)が住宅の断熱性能の弱点とお話ししましたが、それは外壁の断熱性能が高い状態を確保できて初めて開口部の断熱性能が問われます。
今現在、住宅メーカーや工務店などが設計している住宅のほとんどは外壁(充填断熱)に断熱材が入っています。使用している断熱材はまちまちですが、一定の性能をもったものを使用している傾向があります。
外壁の断熱方法には「充填断熱工法」と「外張り断熱工法」の2種類があります。一般的には充填断熱工法が主流で多くの現場で実施されています。また外張り断熱工法は付加断熱とも呼ばれるように充填断熱と組み合わせて使用されることがあります。
柱や梁など住宅の構造体の間に断熱材を入れる断熱工法のことです。木造住宅では最も一般的に行われています。グラスウールなどの繊維状の断熱材や、発泡プラスチック系の断熱材を柱などの間にはめ込む場合と、粒状の断熱材を機械で吹き込む吹込み断熱、ウレタンフォームなどを吹き付ける吹付断熱があります。充填断熱で多く使用されるグラスウールやロックウールなどは、価格が安い断熱材です。また最も普及している断熱方法であるため、資材や施工のコストも下げることができます。
断熱材を構造体の外に張り付け、住宅全体を断熱材で覆う断熱工法のことです。充填断熱と比べて外張り断熱は熱橋(ヒートブリッジ)が少ないのが特徴です。充填断熱は柱間などの隙間に充填するため、断熱材が入っている部分は断熱性能が高くなりますが入っていない部分(柱部分)は断熱材が入っていないので、断熱性能が発揮されません。外張り断熱は住宅の外側をぐるっと覆うため断熱性能が発揮されやすいです。
最後に外壁の断熱性能を見てみましょう。
今回比較してのは充填断熱のみと充填断熱+外張り断熱になります。数値で見るとU値は0.57(充填断熱)と0.20(充填断熱+外張り断熱)と0.37の差になります。
こう見ると少しの差しかないから、施工費がかかる外張り断熱はしなくてもいいのではないかと思います。しかし、外壁は表面積が多く、断熱性能を評価する上で大きく影響します。またHEAT20 G2基準(UA値=0.46)を超えるには外張り断熱は必須といえます。
外張り断熱は現状施工している会社は多くはありませんが、今後、数年・数十年後の住宅の断熱には当たり前になっていくと思います。
(編集:山内一輝)